予防歯科
これまで歯科では、むし歯や歯周病といった症状に対して、削ったり、埋めたり、被せたりと歯に代わるもので補うという形で治療を繰り返してきました。削ったり抜いたりした歯は、もう二度と元には戻りません。できるだけ歯を削ったり、抜いたりしなくていいようにするためにはどうすればいいかを、本気で考えるべきなのです。
やはり、ご自身の歯に勝るものはありません。わたし達は今ある歯を、お口の健康を大切に、そして可能な限り、ご自身の歯で食べていただけるように「メインテナンス」を受けていただきたい、と切に願っています。当院では患者様ひとりひとりにあった予防プログラムを実施するため、唾液検査をおすすめしております。
むし歯のリスクとは?
むし歯にどれくらいなりやすいかを調べて対策をたてます!
むし歯は様々な原因が重なり合って生じると言われています。原因は複雑です。そして、むし歯のなりやすさには個人差があるため、ご自身のむし歯のリスクを知ることは、むし歯のないお口の中にしていく、または、維持していくため、とても大きな意味があります。
「あなただけの」リスクを調べ、一緒に対策をたてませんか?これまでは、むし歯を治療しては再発してしまう、という負のサイクルだったかもしれません。しかし、ご自身のむし歯のリスクを十分に理解することで、そのサイクルから抜け出しましょう。
リスク評価は以下のようなことを調べます。
唾液検査
むし歯菌活動性検査
むし歯の原因菌は、糖分を栄養にしてプラーク(歯垢)を作り、唾液を歯に届きにくくします。また、プラークの中で酸を作り、歯の表面を溶かします。この検査では、むし菌の活動具合をチェックします。活動が活発なほど、むし歯になりやすい状態です。
検査は簡単です。綿棒で唾液を採取し、48時間専用の機械で培養します。
唾液量検査
唾液には、口腔内を洗い流す自浄作用、むし歯の進行を抑制する再石灰化作用など多くの役割があります。唾液の量を計測することで、この作用の強さを把握できるため、むし歯のリスクが評価できます。
食事の回数、間隔、内容の把握
実は食事の回数や間隔がむし歯に関わります。 糖を含むものを飲食するとお口の中が酸性に傾きます。食事の回数が多かったり、また間食によって食事の間隔が短いと、酸性に傾いている時間が長くなり、歯が溶けてむし歯になりやすくなります。また、酸の多く含まれる飲食を続けることによって、酸性に傾く時間が長くなり歯が溶かされることもあります。多くの人は定期検診に行っているものの、食事の回数や間隔、内容を見直すことがなく、むし歯の再発を繰り返してしまう傾向にあります。
フッ素の使い方
フッ素はむし歯予防の圧倒的戦力!!
むし歯予防には何がいいですか?と聞かれ、答えを1つ選ぶならフッ素です。皆様もむし歯予防には“フッ素”と聞くことが多いのではないでしょうか。では、フッ素の効果とはどんなものなのでしょうか?
- ①歯質の強化
- 歯の表面にフッ素があると、むし歯菌により酸が出されても歯が溶けにくくなります。特に乳歯や生えたての歯はやわらかいので歯質強化は効果的です。
- ②むし歯菌の働きを弱める
- 歯垢の中にフッ素がとどまり、むし歯菌の活性を抑えて酸を作らないようにします。
- ③歯の再石灰化を促進
- お口のなかでは、食事のたびに起こる脱灰(溶ける)と再石灰化(かたまる)が繰り返されており、このバランスが崩れるとむし歯になります。再石灰化は唾液の力によるものです。フッ素はこの唾液のはたらきの手助けをしてくれます。
フッ素の使い方は年齢やリスクに応じて異なります。わたし達はどういう使い方が良いかリスクに応じてお伝えしていきます!
歯を失う原因
歯を失う原因として大きな『むし歯』や『歯周病』は、要介護の原因となりうる様々な病気を引き起こす原因となったり、病気を悪化させたりします。『まだ痛くも痒くもないないし、大丈夫。』と思っている歯周病やむし歯の状態であっても、それは病気のスタート地点。病気は一度に起きるものではく、生活をしていく中で時間を追って、いわばドミノ倒しのように病気は発症していきます。これをメタボリックドミノと表現することがあります。歯周病やむし歯は、このドミノの最上流に位置しています。
お口はからだの入り口です。
歯周病やむし歯は、全身の組織や臓器に影響を与えると考えられていて、口腔内細菌によりメタボリックドミノが始まると糖尿病や脳卒中、心不全など疾患のリスクも高まります。そして、歯を失うと、一体何が起こるのでしょうか。それは、食べ物を美味しく食べられないことはもちろん、以下のようなことが言われています。
- 食べ物をかめず、消化器官の負担が大きくなる。
- 力を入れることができない。
- かめないことで、血行が悪くなり認知症になりやすくなる。
- むし歯菌や歯周病菌で敗血症や心臓疾患を起こすリスクがアップする。
- 定期的に来院され歯を残す習慣を持たれている方と比べ、医療費が3倍かかると言われている。
歯を失うということは?
歯を10本以上失うと、肺炎による死亡率は2.5倍も高くなり、歯を20本以上失うと大腿骨(ふとももの骨)骨折はなんと5倍も増えるのです。今、日本人の寿命は、医学の進歩によりどんどん伸びています。その中で、どう生きるかがとても大事です。「寝たきり」の原因となる、転倒による骨折や、認知症、脳梗塞のリスクを、お口のケアによって大きく下げることができるのです。
あなたのお口の健康状態は大丈夫ですか?定期的なメインテナンスで、お口の健康を守ることから生活習慣病を予防していきましょう。
定期的なメインテナンスでは何をする?
- 普段の歯磨きの仕方、磨き残し部位確認
- フッ素の使用状況確認・食生活(間食の取り方、食事時間帯などについて)のアドバイス
- 生活習慣、病歴確認(喫煙状況、服薬など)
- むし歯や歯周病の検査
- 歯科衛生士による口腔内クリーニング(普段自分の歯磨きでは落とせないバイオフィルム(細菌の膜)などを除去します)
- 被せ物や詰め物に不具合がないか、お口の粘膜に異常がないか診察
どんないいことが?
- むし歯や歯周病になるリスクを大幅に軽減できる
- 万が一むし歯になってしまった場合でも早期の治療が可能(初期の場合は徹底的に予防することで削らなくていいこともあります)
- 定期検診、早期治療の方が費用を安く抑えられる(生涯医療費も安くなるという報告があります。)
一番のいいことは… 将来的に自分の歯を残すことができ、自分の歯で食事ができることです!